前立腺肥大による排尿障害の症状を評価します。
国際前立腺症状スコア(International Prostate Symptom Score:IPSS)は前立腺肥大症の程度を自己判断するための方法で、世界中でよく使われています。軽症~重症の分類は暫定的なものですが、今後の治療方法も決める重要な参考資料になります。
0~7点(軽症)前立腺肥大症はそれほど進んでいないと思われます。特に治療をしないで経過をみていくケースが多いのですが、7つの症状のうちどれか一つでも点数が高い項目がある場合は、検査を受けた上で治療が行われることもあります。気になる症状のある方は一度医療機関に相談すると安心です。 8~19点(中等症)前立腺肥大症が少し進んでいるようです。多くの場合、前立腺の大きさや尿の出る速さを調べる検査を受けて、治療が行われます。早めに医療機関に相談されるとよいでしょう。 20点以上(重症)前立腺肥大症がかなり進んでいるかもしれません。尿閉(尿が全く出なくなること)や腎臓の病気になる前にきちんと診察を受けて治療しましょう。 |
前立腺は膀胱のすぐ下にある男性だけにある臓器です。正常男性の前立腺の大きさはクルミ大です。前立腺は、移行領域と中心領域からなる内腺と辺縁領域からなる外腺からなります。前立腺肥大は内腺の肥大で起こります。前立腺癌は外腺に生じます。
加齢とともに、前立腺は次第に大きくなる傾向にあります。前立腺が腫れて大きくなる(前立腺肥大症)と、尿道を圧迫してトイレが近くなったり、尿の勢いがなくなったり、残尿感がでたりというような症状がでてきます。ただし、前立腺の大きさと尿道の圧迫の強さは必ずしも一致しません。また前立腺肥大症がなくても、加齢による影響でそのような症状がでる方もいます。
前立腺肥大は症状が「軽症」なら、経過を観察し、症状が重くなるような場合には、薬物療法による治療が行われます。「中等度以上」の場合で、尿の出が悪くなって、尿が全くでなくなったり(尿閉)、尿管や腎盂の内圧が上昇し、腎臓の障害が生じる場合には、手術が必要となる場合もあります。また、薬物療法では効果が不十分で、また、手術もしたくないという場合には、前立腺高温度療法という治療法もあります。いずれにしろ、中等度以上の症状のあるかたは、泌尿器科の診察が推奨されます。
なお、前立腺癌と前立腺肥大とでは、発生する場所が異なります。一般的に良性の前立腺肥大症は移行領域(内腺)から発生し、前立腺がんの約70%は辺縁領域(外腺)から発生します。前立腺癌の発生部位は尿道から離れているために、排尿障害はあまり起こりません。前立腺癌が気になる方には、血液中の「PSA値」の測定をお勧めします。PSA検査の値が高い場合には、泌尿器科での精密検査が勧められます。
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