- ISBN : 978-4-86034-899-1
著=Marjorie A. England/Jennifer Wakely/訳=杉本哲夫(関西医科大学教授)/宝谷剛志(関西医科大学講師)
A4判
376頁
原著第2版
2008年12月発行
脳と脊髄の構造を,多くの画像・イラストを用いてわかりやすく図解したアトラス。ポイントを押さえた解説テキストが併記されており,神経解剖学の入門書として最適の一冊。
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序文より一部抜粋
本書はMarjorie A. England, Jennifer Wakely著「 Color Atlas of the Brain and Spinal Cord Second Edition」(2006年)を訳出したものである。著者が序文に述べたごとく,難解と考えられがちな神経解剖学の学習に資するように,多数のカラー写真を中心に,図解を旨として構成されたカラーアトラスである。
類書に見られる,主として低倍率写真から構成された脳アトラスとはやや趣を異にしている。ユニークな点をいくつか列記してみる。第1に,低倍率写真とともに中・高倍率の写真をふんだんに取り入れている。例えば松果体や錐体細胞の写真などはユニークな高倍率像を提供している。第2に,解説テキスト部分は必要最小限に留めている。第3に,脳・脊髄の各種画像写真をこれまたふんだんに取り入れている。第4に,脳のスライスの断面と脳の外面の目印との対応関係が明示されており,一見して自分が今,脳のどこをどのようにして観察しているのか一目瞭然にわかる。第5に,必要な図は反復して登場する。これは初学者には極めて親切な方式で,例えば錐体交叉の図があちらにも,こちらにも付されている。重要な構造は1回に限ることなく繰り返し説明しようとする著者の姿勢が感じられる。第6に,発生学(第3章)の内容が豊富である。
このような特長をもつ本書は,神経解剖学を学習する際の最高の伴侶となり,脳と脊髄の実習に大いに役立つと思われる。前述のごとく少々詳しい組織図譜として,ある構造を総覧する目的にも使用できよう。
原著第2版にはテキストと図の示説に若干の修正を要する箇所が見られたが,日本語版の編集にあたり,訳者の見識の範囲内でできる限り正確を期して訳出に努めた。
宝谷 剛志
杉本 哲夫
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目次
Section1 中枢神経系の構造的特徴
1 ヒトの神経系序説
2 神経解剖学の用語
3 発生学
4 頭蓋腔
5 脳の外面の特徴
6 脳の内面の特徴
7 髄膜
8 脳と脊髄への血液供給
9 脳室
10 大脳半球と大脳基底核
11 間脳
12 交連線維
13 脳幹
14 脳幹の脳神経核
15 小脳
16 脊髄
Section 2 中枢神経系の機能システム
17 反射弓
18 体性感覚路
19 視覚
20 聴覚と言語
21 平衡感覚
22 嗅覚
23 味覚
24 加下性運道路
25 運動性制御
26 大脳辺縁系
27 脳実習の手引
28 脳画像実習の手引